【完】君は狂った王子様。



「その衣装、どうしたの?」



見るからに、破れて着れたものではない衣装。

なんて言えばいいのかわからなくて迷っていると、綾小路さんががっ君の手を握った。



「京極君…っ、突然白咲さんが、白雪姫は私だって言って衣装引っ張ってきて…破れちゃって…」



…え?

そ、そんな…違うのにっ…。




「桜、そんなことしたの?」

「……っ」



がっ君は、わたしのこと、疑ってるの…?


胸が苦しくなって、返す言葉が喉の奥で詰まってしまった。


がっ君の手を握ったまま、綾小路さんは悲しそうな表情を浮かべる。

まるでわたしが悪役みたいで、悔しくて下唇を噛み締めた。


静まり返ったこの場で、口を開いたのは綾小路さん。