【完】君は狂った王子様。




ぎゅっと、自分の手を握りしめる。



「綾小路さんに、そんなこと言われる筋合い、無いです…!」



真っ直ぐに目を見て、わたしははっきりとそう言った。



「…は?」

「わたし…がっ君の彼女なので、綾小路さんのこと応援できませんっ…!隣にいたいから、わたしはわたしのやり方で、頑張りますっ…!」



再び響いた、舌打ちの音。



「あんた…ちょっと痛い目見た方が良いんじゃない?」



綾小路さんが、一歩ずつわたしに歩み寄ってくる。

…っ。

逃げたくてたまらなくて、でもわたしは、そこから一歩も動かなかった。


わたしのすぐ目の前まできた綾小路さんは、わたしを見下ろして、目を細める。