【完】君は狂った王子様。


ちゃんと言わなきゃ、えっと、えっと…



「わたしのこと、嫌いにならないで…っ」



頭の中にあるたくさんの言葉の中。結局口から出てきたのは、そんな言葉。


私はがっ君の服の裾を掴み、必死にがっ君を見つめた。



目と目が合って、がっ君はふっと笑う。



「…怒ってなんてないよ。僕が桜のこと、嫌いになるはずないだろう」



がっ君…。



「ほんとにっ…?わたしのこと、怒ってない?」


「桜は心配性だね。ほんとだよ、怒ってないから」



いつもの笑顔。

『桜』って呼ぶ、優しい声。


わたしは嬉しくなって、がっ君の腕に抱きついた。


優しい優しい、がっ君。

やっぱり、大好き…。



「そ、そうだ…がっ君、風邪は大丈夫?」

「ああ、心配ないよ。少し目眩がするくらい」



目眩がするなんて…強がっているけれど、相当辛いのかもしれない。