がっ君から、視線を逸らすように下を向いた。
それなのに、がっ君はわたしの頭を掴んで無理矢理にでも目を合わせようとしてくる。
ぐいっと顔を持ち上げられ、交わった視線の先。
「桜子、お前は何も悪くないから。そんなふうに追い詰めてしまった俺が全部悪い。だから、頼むから理由を言ってくれ。じゃないと俺は、どうにかなってしまいそうだからッ…」
わたしの方が苦しいのに、胸が痛いはずなのに、がっ君はそれ以上に辛そうな表情だった。
わたしがこうさせたのかと思うと、胸の痛みはさらに膨らんで行く。
「理由聞いて…わたしのこと、嫌いにならないっ…?」
「なる訳が、ないだろうッ…!?俺がこんなに愛しい桜子を嫌いになるだなんて、この世界が消えるよりもありえない」
ほんと、に…?
流れた涙が耳にかかって、くすぐったい。
がっ君は愛しいものをみるような瞳でわたしを見つめ、綺麗な指でそっとわたしの涙を拭った。

