【完】君は狂った王子様。


「……冗談?桜子、どうしてそんなこと言うんだ?…嫉妬してばかりの俺が嫌になったのか?」

「…違うよ。……ダメ?」

「ダメ、とか…そういう話じゃないだろ!?訳がわからない!?どうして距離を置くだなんて話になるんだ!!また誰かに何か吹きこまれたのか!?何を言われた!?」



先ほどよりも、一層強い怒りを露わにし、半ば叫ぶようにそう言ったがっ君。

我を忘れて怒り狂っているがっ君を前にしても、わたしはどこか冷静だった。


これでいいんだと、心の中で呟く。



「違う。わたしが、距離を置きたいって思ったの」


「……やっぱり……俺が、嫌いに…なったのか…?」



がっ君は、この世の終わりみたいな顔をして、覚束ない口調で言った。