【完】君は狂った王子様。



ぼんやりと見えるがっ君の顔が、悲痛に歪む。



「違う、桜子、俺は…「がっ君」



わたし、ずっとがっ君と一緒にいたいから。

だから…もっと大人になる。



「あの、ね…がっ君と、距離、置きたいのっ…」



こんな気持ちのまま、あなたの隣にいられない。







「………。桜子、言ってる意味がわからないよ」



がっ君の声が、心無しか震えているような気がした。



「少しの間、一緒にいるのやめたい」



もう一度はっきりとそういえば、今度こそがっ君は、「っ」と苦しそうな声を漏らして、痛いくらい強くわたしを抱きしめた。