酷く焦った様子で、怒りに満ちた表情をしている。
一瞬その人物が誰なのか理解出来なかったのはきっと、俺たち生徒が知るその男は、そんな表情をする人間ではなかったはずだから。
いつもにこやかな笑顔の『王子様』が、今は恐ろしい『魔王』のようなオーラを放って降臨した。
あれ…生徒会長、だよな…?
「がっ君…?」
『花の妖精』の声が、静かな辺りに良く響く。
その声はまるで小鳥のさえずりのように愛らしい声で、俺は再び唾を飲んだ。
『王子様』は、『花の妖精』へと一直線に向かう。
「きゃっ…!が、がっ君っ…!」
辺りが再びざわついて、誰もが状況を飲み込めていない様子だった。
司会者さえ、焦りを浮かべている。