【完】君は狂った王子様。




ああ、美しい。

ああ、可愛いーー。



ポージングをとる場所に着いて、彼女は立ち止まった。

恥ずかしいのだろうか、ポーズは取らず、照れくさそうにふにゃっと微笑む。



その姿に、一体どれだけの人間が、心臓を撃ち抜かれたのか。


ーーーまずい。



可愛い、可愛い…美しい、すぎるぞ。


今すぐ彼女を攫ってしまいたい衝動に駆られ、どうしようもない。


こんな綺麗な人間は、今まで見たことがない。否、この先もきっと見ることは無いだろう。


出来ることなら、このまま彼女を連れ去ってーーー



きっとそう思ったのは、俺だけでは無いはずだ。



そして、それを抑えきれなくなった人物もいるのだと、次の瞬間に証明された。



ステージに、一人の男が現れた。