【完】君は狂った王子様。



その表情にはほんのりと笑みが浮かべられていて、俺は思わず、ゴクリと唾を飲み込んだ。




ーーーーー美、しい。



噂には聞いていたが、俺は『花の妖精』を実物で見るのは初めてだった。


まさに、その名に相応しい、少しの劣りも見せない少女。



『花の妖精』という呼び名を付けた人に、拍手を送りたいほど。



裏で出回っている写真を初めて見たときは、なんて可憐な美少女なのだろうかと思ったのを憶えている。


けれどーーー比じゃ、ない。


写真とは比べ物にならないほど、本物の彼女は美しい。


まるでスローモーションでも見ているかのような気分になってきて、彼女の美しさは現実のものなのかとさえ疑わしくなってくる。