【完】君は狂った王子様。



桜が望むなら、俺はなんでもするのに、なんでも与えてあげたいのに…その望みすらわかってやれない、自分に心底腹が立っていた。

ここ数日、キスも出来てない。

桜不足で、どうにかなりそうだった。


ステージに立たされて、息をするように作り笑顔を浮かべる。

長年王子様の仮面を被っていたら、嫌でも身についてしまった。


しかし、桜の方を見て、俺の顔から笑顔が消えた。



ーーーいない。



桜が座っていたはずの場所に、桜がいない。


…ッ、どこにいった?

もうヘラヘラと笑う余裕も無くて、俺は辺りをぐるりと見渡した。


…桜…っ、どこだ?

何か買いに行った…?

いや、それだったら俺が戻ってくるのを待っているはず…?