【完】君は狂った王子様。


「遅れてすみません、先生」

「お!京極、大丈夫か?」

「はい。…って、言いたいところなんですけど、保健室の先生に早退届渡されちゃいました」



いつもよりも元気がなさそうな顔で笑うがっ君に、わたしは眉の端を下げた。



「大丈夫か!?京極は無理をしすぎるからな…帰ってゆっくり休むんだぞ」

「あはは、そんなことないですよ。ありがとうございます」



早退って…そんなに、体調悪かったの…?


わたし、わたし…



がっ君が、わたしの隣である自分の席に座って、帰る支度を始めた。


がっ君は、わたしの方をチラリとも見ようとしない。


怒ってる…?

がっ君の態度に、悲しくなって、わたしは手を伸ばした。



「が、がっ君…」



がっ君にしか、届かないような声で名前を呼ぶ。

帰る支度を進めるがっ君の手を握って、じっと見つめた。