【完】君は狂った王子様。



今わたしががっ君のそばにいても、がっ君になにもしてあげられない。

むしろ、迷惑をかけるだけ…。


今思えば、小さい頃からずっとそうだった。

わたしはがっ君に甘えてばかりで、一人じゃ何もできない無力な人間。


がっ君のそばにいるのが辛いなら、少し離れて、一人でも大丈夫になれるよう、頑張ってみるのもひとつの手かもしれない。

わたしは、もっと大人にならなきゃいけない気がする。



「少し、難しかったかしら?」



黙り込んだわたしの頭を、お母さんが優しく撫でた。



「まあ、一人の時間も必要ってことね」

「うん…」

「お昼ご飯出来てるから、お腹空いたら下に来なさい」



優しく二度、わたしの頭を叩いて、お母さんは部屋から出て行った。


一人の時間、かぁ…。


がっ君がいない世界なんて、想像がつかないなぁ…。