【完】君は狂った王子様。



「わっ…可愛い…!」

「ふふっ、桜子にぴったりのやつ、選んだのよ」

「お母さん、ありがとうっ…!」



満面の笑みをお母さんに向けると、お母さんはわたしを見て憂いのある笑みを浮かべた。



「やっと笑ったわね」

「…っ、え?」

「最近、桜子ずっと浮かない顔してたでしょう…?」



びっくりした。

お母さんが、そんなふうに思ってただなんて、知らなかったから。



「何かあったの?お母さんでよかったら、何時でも相談に乗るわよ」



お母さん…。

わたしの隣に座って、微笑むお母さんを見て目に涙が滲む。



「あ、あのね…」



ほんとうは、誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。

わたしは随分と饒舌に、悩んでいることを話した。



「大事な、人がいて…その人のこと凄く大切なんだけど、考えてることがわからなくて…苦しいの」


「大事な人、ねぇ…」