【完】君は狂った王子様。




最低っ…わたし、何、考えてっ…。

…っぅ、がっ君…。



ーーコンコンコン。



扉をノックする音が聞こえて、慌てて涙を拭った。



「桜、帰ってるの?入るわよ?」

「う、うんっ…!」



ドア越しに聞こえたのは、お母さんの声。



「…あら?どうしたの桜子…?」

「え?な、何もないよ…」

「…そう?これ、後夜祭のドレス置いておくわね」



ドレス…?



「なあにそれ?」

「明後日の後夜祭で、パーティーがあるんでしょう?ドレスを用意しておいてくださいって、プリントに書いてあったわよ」



あ…そういえば、がっ君が言ってた…。

文化祭二日目の後夜祭。


がっ君が、他の女の子と踊る日。



お母さんは、わたしに真っ白のドレスを渡した。

ところどころに花が散りばめてある、とても可愛いドレス。