【完】君は狂った王子様。



けれども心臓の痛みだけはずっと残っていて、的確に突き刺されるような痛み。



「はい、練習はここまで。帰る用意してね!」



4限までだから、もう今日は家に帰れる。

早く教室から出て行きたくてたまらなくて、席に着いてからもずっと視線を下に向けていた。



「明日は文化祭。本番は明後日だけど、みんなで頑張りましょうね。それじゃあ、家に帰ってゆっくり休んでください」



「さようなら」という先生の言葉に、クラスメイトたちが次々に立ち上がる。



「桜、帰ろうか?」

「う、うんっ…」



わたしとがっ君も立ち上がって、教室を出た。



どうしよう…気ま、ずい…。


帰りの車内には、息苦しい静寂が流れていた。

どちらからとも話さず、ただ、手は握ったまま。



「桜…?」



名前を呼ばれて、顔を上げた。