【完】君は狂った王子様。



「桜、子…ッ」



目を真ん丸と見開いたがっ君は、わたしに気づいて焦った様子で駆け寄ってきた。



「桜、どうしてここに…保健室で待っててって言っただろ…?」

「ご、めん、なさい…」



…あれ?どうしてわたし、謝ってるんだっけ…?

何を、謝ってるんだろう…。



「…ごめん、今のはただの事故だから。気にしないで」



がっ君は…何を謝ってるの?


…っ、なんだか、もうなんにもわからなくなってきちゃった…っ。


どうしよう、泣き、そう…。

我慢できなくて俯いた時、ちょうどいいタイミングで先生が廊下の向こうから歩いて来た。



「あら、白咲さん…!もう体調は大丈夫なの?」

「は、はい…」

「そう、よかった。SHR始めるから、教室に入りなさい」

「はい…」



先生が作ってくれた一瞬の安息が、わたしの涙を止めてくれた。