【完】君は狂った王子様。



「さっきの男…何?」



いつもの優しいそれとは、似ても似つかないような低い声だった。

男…やっぱり、怒ってたのはそれが原因…?



「あ、あの…わたしが転んじゃって…泣いてたら、あの人が助けてくれただけで…心配してくれただけなの…!」



何も、やましいことは一切ない。



「へぇ、それだけ?」



がっ君から発せられたのは、追求するような言葉。

わたしの言葉を疑っているのか、眉を寄せながら目を細めていた。



「そ、それだけ!本当にそれだけだよ…?」



慌てて首を縦に振れば、ようやくがっ君の表情が柔らかくなる。

がっ君は、わたしを座らせて、そのまま優しく抱きしめてきた。


心臓が、どきりと音を立てる。

耳元に寄せられた唇から漏れた吐息がくすぐったくて、少し身をよじった。