ハッとした表情をして、桜は俺に視線を移した。
目があって、ホッとしたように笑う桜。
「がっ君ママ…喜んでくれてよかった…」
「ふふっ、そうだね。きっと、父さんも喜んでくれるよ」
俺の両親は、二人揃って桜を実の子供のように可愛がっている。
頭のおかしかった息子を更生させてくれた、くらいに思っているんだろう。
まあ、その通りなんだけどね。
俺がずっと桜を想ってきたことも、裏で手を回していたことも、二人は知っている。
そして、俺が桜を手に入れるために、どれだけの努力を重ねてきたかーー…
ーー努力が実ったのだと、改めて実感が湧いて、俺は桜を抱き寄せた。
「ねぇ、桜…」
「どうしたの?」
「好きって、言って…?」
自分でも驚くほど、女々しい発言が飛び出した。