【完】君は狂った王子様。

気持ち良さそうに眠る姿に安心して、俺は有り余る愛しさを笑みに代えて零した。


今日は、なんだか元気がない様子だったから…体調は悪くなさそうで、安心した。


さっきも、なんだか泣きそうな顔をしている気がしたから…。


…それにしても、桜が白雪姫をしたいと言い出したことには驚いた。



白雪姫の候補をと言った途端に、クラス中が桜を見た。

当たり前だ。

桜ほど、その役が似合うやつなんていない。


満場一致で桜が選ばれるのはわかっていたが、俺は絶対に、嫌がると思っていたんだ。


桜は、人前に出ることに抵抗を持っているし、目立つことが苦手だから。



予想外の発言に、焦って少しきつい言い方をしてしまったが、仕方がない。


……誰が、大衆の面前にかわいい桜を晒すものか。


相手役があんな女に決まったことは不服だが、桜じゃないなら、誰がなっても一緒。