誰も否定するものはおらず、王子様と白雪姫が決まった。 「京極君、よろしくね…!」 「うん、こちらこそ」 クラスメイトたちが、「ひゅー!」と冷やかしの声を送る中、わたしだけが、二人を祝福出来ない。 なんだか…わたし、魔女みたいだ…。 白雪姫を羨む、意地の悪い魔女。 でもわたしは、毒リンゴを渡す勇気も、肝心の毒リンゴも、持ち合わせてはいなかった。