【完】君は狂った王子様。



「はぁ…かわいい。凄く似合ってるよ」

「ほ、ほんとに?」

「ああ。他の奴に見せたくないな…。ここから出したくなくなっちゃった」



『かわいい』

その一言が嬉しくて、だらしなく頰が緩む。



「でも、こんな新しい服、着てもいいの…?」

「もちろん。桜のために用意したんだ。誕生日プレゼントの一つとして受け取って」



がっ君…。

この服は、見るからにわたしの好みそのもの。

わたしのこと、良く見てていてくれたんだ…と感動して、思わず視界が滲む。


素敵な誕生日プレゼント…ずっと大切に着させてもらおう…。



「さあ、行こうか?」

「うん!」



用意も全て整い、部屋の片付けも終わった私たちは、手を繋いで家を出た。


…わっ、ここ、こんなに広いマンションだったんだ…。