【完】君は狂った王子様。



「ごめんね…無理させちゃった…?」



申し訳なさそうにそう言われて、うっ…と眉の端を下げる。

そ、そんな捨てられた子犬みたいな目、ズルい…。



「だ、大丈夫っ…」



簡単に絆されてしまう自分が、情けない…。

でも、がっ君が随分と嬉しそうに笑っているから、もうなんでもいいや…。



「桜は優しいね。大好き」

「ぅ…」

「さ、出かける準備しようか?」



わたしは「うん!」と返事をし、大きく首を縦に振った。



「着替え、洗面所に用意してあるから着替えておいで」

「着替え?」

「そう。桜に似合う服を用意したから」



「早く着て僕に見せて」と言われて、不思議に思いながら、洗面所に向かう。

そこには、真っ白な箱が置いてあった。


この箱かな…?