「さーくら…」



甘い声が聞こえて、わたしは目を覚ました。

まだ開こうとしない瞼。

目をつむったまま、わたしを抱きしめている身体に手を伸ばす。

ぎゅうっと抱きつくと、とても温かくて気持ちいい。



「ふふっ…寝ぼけてるの?可愛いなぁ…」

「んぅ…あった、かい…」



もうちょっと、寝よう…。



「起きて。もう10時だよ」



10、時…?



「今日はデートでしょ?ね、おーきて」



デート…?

…あっ…そう、だ。


今日、がっ君とデート行くって…約束…。


思い出して、わたしは慌てて意識を覚醒させた。



「起きた?」

「う、うんっ…おはようがっ君」

「ふふっ、おはよう桜」



がっ君はふわりと微笑んで、わたしの額に口付けを落とした。