「本当は…その身体に僕を刻み込んで元の日常に戻してあげようと思ってたけど…恋人同士になれたんだから、急ぐことはないね」
「ふっ…」と、なにやら嬉しそうな顔で微笑むがっ君の顔が近づいてくる。
反射的に目を閉じると、額に唇の感触が。
おでこにちゅーされたのだとわかって、恥ずかしさで顔が熱くなった。
「キスもその先も…これからゆっくり愛し合っていこう」
「そ、その先…?」
「ピュアな桜はまだ知らなくていいんだよ?これから俺が一つずつ教えてあげるから」
なにを言ってるのかわからないけれど、がっ君が教えてくれるなら大丈夫だろうと呑気に思った。
「さ、疲れただろう?朝までゆっくり寝たらいい。起きたら、久しぶりに外へ出てデートだからね」
「うんっ…」
がっ君と、デート…ふふっ、楽しみだなぁ…。
ぎゅうっと抱きつくわたしごと、がっ君が布団を掛けてくれる。
「おやすみ、がっ君…」
「ふふっ、おやすみ…桜子…」
幸せな16才の誕生日が、始まった。

