何度も首を左右に振って「ダメ〜」と言えば、ようやく諦めてくれたのか、がっ君は残念そうに視線を下げた。
「……そうだね。初めてなのに…少しがっつきすぎたかな…。今は我慢するよ」
代わりに、強く抱きしめられて、そのままベッドに押し倒される。
一緒に眠るような体勢になって、心地いいがっ君の腕の中。
わたしはその温もりに酷く安心して、思わず瞼を閉じる。
「俺はね、桜となら…こうして抱き合っているだけでも、幸せだ…」
わたしも…がっ君に抱きしめられたら、凄く幸せな気持ちになる…。
そんなことを思いながらも、ふと、ずっと思っていた一つの疑問が。
「がっ君は…『僕』なの?『俺』なの?」
度々一人称が俺に変わるがっ君を、ずっと不思議に思っていた。
今までずっと僕だったから、最初俺に変わった時はドキっとしたんだ。

