【完】君は狂った王子様。



「は、はいっ…」



何度も首を縦に振って、がっ君に手を伸ばした。

わたしに応えるように、強く抱きしめてくれるがっ君。



「ははっ、夢みたいだ…」



ほんとうに、夢みたいっ…。



「ねぇ、もう一度聞くよ」



愛しい人は、耳元で囁いた。



「キスしても、いい?」



答えなんて決まっていて、迷わず頷いたわたし。


頰に伸びてきた手の感触。

静かに、瞳を閉じる。


キスなんて初めてで、どうしていいかわからなくて、わたしはただがっ君に身を預けた。

すぐそこに、がっ君の顔があるのがわかるくらいの至近距離。


それは…唇が触れる、寸前だった。



「大好き。愛してるよ…」



舞い上がってしまうような愛の言葉のあと、唇に柔らかいものが触れた。


一瞬。けれど、永遠のようにも感じた。