【完】君は狂った王子様。



「しきたりがあったから…がっ君は今まで…」



何も、言ってくれなかったの?



「そうだよ。毎日桜に好きだって言いたくて堪らなくて…俺の恋人になってくださいって言葉を、何度も何度も飲み込んだ」



がっ君は、それを思い出すように、フッと笑った。



「だから…もういい?」

「…え?」

「もう、言ってもいい?」



何を…?なんて、言わない。

がっ君のその瞳で、がっ君が言おうとしている言葉がわかったから。


わたしはただ、一度だけ頷く。




「桜子…僕と、付き合ってください」




…っ。

心臓が、飛び跳ねる。


全身が嬉しいと叫んでいて、それを表すのは、一筋の涙。