「ねぇ、桜」
「なぁに?」
「……キス、していい?」
ーーーーえ?
キス…?
き、キス…!?
「え?え!?そ、そんな急にっ…!」
「急にじゃない」
随分と真剣な表情に、何も言えなくなってしまう。
がっ君はそれをいいことに、わたしの手をゆっくりと握ってくる。
「ずっとずっとこの時を待ってた。桜に…キスしたかった…」
待ってたって…ず、ずっと…?
「ねぇ、もうしきたりは無効になったんだ。…ダメ?」
…あ。
そういうことか。
がっ君が16歳にこだわる理由が、ようやくわかった。
"16になる時まで、純潔を守る"、"異性と恋仲になってはいけない"

