【完】君は狂った王子様。


そう思うくらいには、わたしもがっ君に相当甘いのだと知った。



「桜…バカなのッ…?」


「うん、わたしバカなのっ…」



えへへっ、と、笑ってみせた。



ーーージリリリリリ。



…?

スマートフォンのアラーム音だろうか?

何かを知らせる音がなって、がっ君は慌ててスマートフォンをとった。


画面を見つめる、がっ君の頰が緩む。



「桜…お誕生日、おめでとう」



…あ。

もう、午前0時?


がっ君は、ようやくわたしの見たかった優しい笑顔を浮かべ、頭を撫でてくれた。



「やっと、一六歳だね…」

「うん。ありがとうっ…!」

「ほんとうに…やっと、だ…」

「がっ君…?」



まるでこの日を待ちわびていたかのような言い方に、きょとんとするわたし。