【完】君は狂った王子様。



長い間、そうした後、



「桜子…」



たまらなく愛しい声で名前を呼ばれ、抱きしめられた。

嬉しくて嬉しくて、わたしもがっ君の背中に腕を回す。



ああ、好きな人と想いが交わるのは、こんなにも幸せなことなんだと知った。



「無理だと、思ってたんだ…」

「……」

「桜が…俺を好きになってくれることなんて、無いって思ってた…」



がっ君も同じことを思っていたの…?

嬉しくて自然と頰が緩んで、きっと今、だらしない顔をしているんだろう。

そんなわたしの額に、がっ君は自分の額をコツンと合わせてきた。



「桜…もう一回言って…」



至近距離でそう言われ、心臓は尋常ではない程にドキドキと騒がしい。

顔を真っ赤にしながらも、求められた言葉を口にする。



「好きだよ…がっ君…」



あ、改めて言うと…恥ずかしいっ…