【完】君は狂った王子様。




わたしを見る目が、先ほどと同じ悲しい瞳のまま。

わたしの言葉を信じてくれていないのかと思うと、胸が苦しくなった。



「同情なんていらないから…そうだよね、お前は兄のように俺を慕って「違、ぅ…」



違うの、がっ君。

同じ、同じだからっ…



「がっ君の…恋人になりたい方の、好きっ…」


「…っ」



今度こそ、がっ君はあからさまに表情を変えた。



「うそ、だろ……桜子、が?」



コクリ。一度だけ首を縦にふる。



激しい動揺を表しているがっ君の手は、小刻みに震えていた。



「どうして?いつから?なんで?」


「わからない…全然わからないッ」と言って、がっ君は髪をかきあげる。



ゆっくりと手を伸ばし、わたしは震えるがっ君の手を握った。