【完】君は狂った王子様。



口に出すとなんだか呆気なくて、がっ君に伝わったのか、不安になる。

もっとこの気持ちに相応しい言葉があるはずなのに、こんな言葉しか浮かばなかった。


案の定、がっ君は何も言わず、ピクリともしない。



「…………………は?」



長い沈黙の後、がっ君は信じられないとでもいうかのような声を出してみせた。


やっと反応が返ってきてホッとする反面、ちゃんと伝わっていないのかと不安になる。

わたしは精一杯の力でがっ君を抱きしめて、そしてもう一度、囁いた。




「わたしも、がっ君が好きっ…」



お願い、伝わって。

がっ君に、届いて。




「…待って、待つんだ桜」



わたしに乗っていた重みがなくなり、見下ろされるような体制になる。

がっ君はゆっくりとわたしの身体も起こして、二人でベッドに座って見つめあった。