「警戒されるのもいややしなぁ…そや!友達になろうや!」
友…だち?
「まずは友達からはじめましょうって言うやろ?オレ桜子ちゃんと友達になりたいんやけど!」
「無理?やっぱ無理?」と、わたしを見つめる瞳が捨てられた子犬のようだった。
わたしと…友達になってくれるの?
高校に入ってからというもの、もう半年以上が経過するのに友達が一人も出来ていない。
がっ君以外、誰も。
「友達…に、なってくれるんですか…?」
そう尋ねたわたしに、彼は首を何度も縦に振った。
初めての…友達。
「嬉しい…」
わたしは自然と頬が緩んで、笑みが溢れていた。
ほんとうは、友達ができないことがとても寂しかったんだ。
内気な性格だから、自分からは話しかけられないし、かといって、わたしに話しかけてくれるような人もいない。

