「僕のキス一つで、山ほどの仕事をこなしてくれるんだ。便利だろ?」
優しいがっ君がしないような悪い顔に、思わず身体がビクッと震える。
怖いと思ったけれど、それよりも…誰とも付き合ってないという事実に、酷く安心してしまう性格の悪い自分。
「それとね…桜が聞いた話は、多分全部本当だ」
ホッとしたのもつかの間、がっ君が言った次の言葉に、再び奈落の底に突き落とされた。
「退学にしたよ。お前に近づいた男、一人残らずね」
…そう、だったんだ…。
とーるの話は、本当だったんだ。
やっぱり、がっ君は…わたしのことが嫌いなんだね…。
少しでも、勘違いじゃないのかと思おうとしていた自分が恥ずかしくなって、下唇を噛み締める。

