【完】君は狂った王子様。



あり得ないものを見るような瞳でわたしを見つめて、眉を寄せていた。


そんな顔したって…わたし、見ちゃったんだからっ…。

ずっと堪えていた涙が、耐え切れずに瞳から溢れる。



「がっ君、他に彼女がいるんでしょう…?」



とーるに渡された写真が脳裏を過ぎった。

それだけなのに、こんなにも胸が痛い。



「……待て桜子。言ってる意味がわからない」



とぼけるがっ君に泣き顔を見られたくなくて、わたしは身体を反転させた。

くるっと回って、顔をシーツに押し付けるような体勢になる。



「わたし、全部聞いたのっ…」



がっ君のこと…全部っ…。



「がっ君が、わたしに声をかけてくれる男の子を、退学にさせてる、とかっ…そこまでして、わたしを孤立させようとしてるって…」



今までずっと、友達ができないのは自分のせいだと思ってた。