【完】君は狂った王子様。



わたしはただ、首を左右に振る。

がっ君は「っ…」と噛み締めるような声を漏らして、わたしの頭を自分の首筋に押し付けた。



「嫌?嫌だよね…」



「ははっ…」と笑って、相変わらずの力で抱きしめてくる。



「でも桜に拒否権は無い。もういい加減諦めなよ、俺からは逃げられないんだから」



どうして…?

拒否権ってなに?
逃げられないって…なに?

がっ君、自分がどれだけのわけのわからないことを言っているのか…わかってるのっ…?



「わから、ないよ…」

「え?」

「どう、して…?わたしのこと、嫌いなんでしょう…?」



やっとわたしの口から出た言葉は、がっ君以上に震えていた。


がっ君は、再び腕に力を入れ、身体を浮かせる。