【完】君は狂った王子様。


きっと、手首に痣が出来ているんじゃないかと思うほど。まるでその手が、逃がさないと言っているようだった。



「でも…だったら尚更、逃がしてなんておけないよ…」



がっ君が、わたしの身体に覆いかぶさってきた。

全体重がわたしに乗ってきて、正直苦しい。

なのに、なんにも、言い返す言葉が見つからない。


ねぇ、どうしてそんなに、苦しそうな声を出すの…?

そんなに必死に…わたしを抱きしめるの…?



「もう、ずっとここにいようか?二人きりで、死ぬまでここにいよう」



本気でそう言っているのだとわかるのは、がっ君が、そんな冗談を言う人ではないと知っているから。


何言ってるのがっ君。

そんなこと、出来るわけないよ…。