【完】君は狂った王子様。





ーーああ、脱走が、失敗に終わったのだ。

そう理解して、目をキツく瞑った。



がっ君は、先ほどまで自分が寝ていたベッドにわたしを少し乱暴に投げて、足鎖を手にもつ。

あっという間にそれをわたしの足につけて、ガチャと鍵の掛かったことを知らせる音が鳴った。


すぐに、ベッドに寝転ぶわたしに覆いかぶさるような体勢になり、両手をがっ君の手に掴まれる。


目の前にある綺麗な顔は、酷く怒りに満ちている。

けれど、その瞳にはーー哀しみが映っていた。


ごくり、と、息を飲む。



「残念だったね?僕から逃げられなくて」



顔を歪めて、哀しむような笑みを零すがっ君。

その姿に、何故か胸が締め付けられた。