【完】君は狂った王子様。



言っている意味がわからなくて、首をかしげながら、わたしはぱちぱちと瞬きを繰り返した。



「…えーっと、桜子、ちゃん?……君、めっちゃかわいいな」

「…!」

「…いやいや、ほんまびっくりやわ。都会の女の子はみんなこないにかわいい子ばっかりなん?レベル高すぎやわー…」



か、かわいい?

わたし、が?


お世辞にも、ほどがある。

だって異性からそんなこと言われたのは、親戚以外初めてだし、まず親戚以外の異性から話しかけられることがない。

クラスメイトだって、わたしには一切話しかけてはこないし、きっとわたしが地味だから、みんな話してくれないんだ。

そうとしか、考えられない。


見え透いたお世辞を言う彼に、なんて返せばいいかわからなくて、下を向く。



「あれ?怖がらせてもうた?オレ全然チャラないから怖がらんといて!ほんまやで!硬派硬派!」

「……」

「うーん…自分から女の子にアタックしたことないから、難しいなぁ…」



彼は何やらうーん…と考え込む仕草をして、ぶつぶつ呟いていた。