大好きながっ君と二人きりで、大好きながっ君と、ずっといられて…



でも、このままでいい訳がない。

がっ君にとっても、わたしにとっても。


自分の荷物は無いので、何も持たずにこの家を去ることにした。

そばにいると、逃げないと約束したけれど、破ることを許してほしい。



…わたし、もうこれ以上がっ君のそばにいれないよ。

あなたのそばは、とっても幸せで、とても苦しい。



お母さん、わたしが急に婚約やめたいなんて言ったら、びっくりするかな…。



でも、仕方ないんだ。

仕方が、ない。



『今年も、僕にお祝いさせてね』



そう言ってくれた、優しいがっ君。

…もういいんだ。


今まで散々、わたしに時間を費やしてくれたがっ君。

これからは、好きな女の子の為に、大事な人の為に使ってあげてほしい。



「さよなら」



眠っているがっ君に向けて、小さな声で呟いた。