ねぇ、結局、どうして誕生日にこだわっていたの?
誕生日をすぎたら…元の生活に戻してくれるって、がっ君言ったよね?
てことは…今日でこの生活も終わり?
わたしたちは、今まで通りの二人に戻れるの?
………そんなこと、できるわけないよね。
「早く良くなりたいから、少し眠るよ」
「うん」
そう言って、がっ君は細く長い、けれど男の人を感じさせる骨張った手を、わたしに伸ばしてくる。
「手、握っててくれないか?」
一瞬、躊躇った。
「うん…」
けれど、わたしはゆっくりとその手に自分の手を重ね、強く握る。
がっ君は嬉しそうに微笑んで、目を瞑った。
「ありがとう」
綺麗な寝顔を見つめて、もう一つの手も、がっ君の手に重ねる。
両手で包み込むように、温かい手を握った。
「おやすみ、がっ君」
ゆっくり……休んでね。