「後5時間で、桜の誕生日だね」
…あっ、今日はもう、11月3日なんだ…。
外も暗くなっていて、忘れていた自分の誕生日を思い出す。
ていうことは、ここに閉じ込められてから、もう二週間。
早かったな…。
「誕生日、忘れてた」
そう言って笑って見せれば、がっ君も優しく微笑んでくれる。
「去年も桜、自分の誕生日って気づいてなかったよね」
そうだったっけ…?
首を傾げれば、笑顔のまま、がっ君は口を開いた。
「今年も、僕にお祝いさせてね」
今年"も"。
毎年、わたしの誕生日はがっ君が祝ってくれていた。
もちろん家族も祝ってくれたけれど、がっ君はいつもわたしが喜ぶことをわかっているかのような、素敵なお祝いをしてくれた。