【完】君は狂った王子様。



「がっ君、ちょっと待ってね」



フィルムをめくって、食べやすい量をスプーンですくった。



「はい、あーん…」



身体を起こしたがっ君の前に、ゼリーを差し出す。

何かおかしかったのか、がっ君は少し驚きの表情を見せ、口を開けずにゼリーを凝視している。



「…食べさせてくれるの?」



…え?



「…あ、自分で食べれたっ…?」



お母さんが熱を出した時、当たり前のように食べさせてあげていたから、自然とこうしてしまった。

そっか…!
ゼリーくらい一人で食べれるよね…っ。

ちょっぴり恥ずかしくなってスプーンごと渡そうとすると、慌てたようにがっ君が告げる。



「ううん、食べれない。食べさせて」



珍しく甘えたようながっ君の発言に、わたしは頰が緩んだ。


なんだか…かわいい…。

がっ君の口にゼリーを運ぶと、今度はパクリと食べてくれた。