「もとはと言えば僕のせいでしょう。どうしようもないおバカさんだね」



俺なんて、見捨てて逃げればよかったのに。

自分が監禁したのにも関わらず、そんなことを思った。


逃す気なんてさらさらないくせに、俺も都合の良い男だ。


先ほどまでは俺から逃れようと抵抗していたが、諦めたのか大人しくなった桜。



「…まあ、逃げたって捕まえる気でいたけど。僕は酷い人間だから、逃がしてなんてあげないよ」



俺はこれでもかと華奢な身体を抱きしめ、存在を確かめる。

再び抵抗を始めた桜が、じたばたと足を動かしているけれど、そんなことは御構い無しだ。



「がっ君…はな、して…?」

「かわいい桜のお願いでも、それだけは聞いてあげられない」



離すだなんて…今更、できるわけないだろう。

愛しい愛しい…かわいいかわいい桜子。

もう俺はね、お前無しじゃ生きていけない。

お前がいない世界なんて、生きる意味がない。