俺はそんな桜の腕を引っ張り、一緒にベッドへ寝転んだ。



「わっ…が、がっ君!?」



驚いている桜を、逃げられないようにキツく抱きしめる。

その首筋に顔を埋めて、めいいっぱい息を吸った。



「桜…」



桜の匂い…。

はぁ…桜…。



『愛してる』


その言葉を、必死に飲み込んだ。



「桜はバカだね」



代わりに、その言葉を零す。



「どうして逃げなかったの…」



足鎖の鍵は解けているのに、呑気にお風呂なんて入って…。



「だって…がっ君、わたしのせいで凄い熱…心配で…」



小さな声で、申し訳なさそうにそんなことを言う。

なに言ってるの…ほんとうに。