【完】君は狂った王子様。




授業中だから、人もいないし、人影すらない。


いつも綺麗に手入れされているなぁ…。

昔から、花道を習っているので、少しだけ花については詳しかった。

と言っても、わたしの家系は和花専門で、洋花は扱わない。古くから、和の伝統を大切にしている。


でもほんとうは、わたしは…洋花の方が好きだったりする。

だから、たくさんの洋花で作られたこの花庭は、わたしにとってはいろんな意味で安らぎをくれる場所。


薔薇は手入れが大変なのに、こんなに咲いている。

わたしは真っ赤な薔薇に手を添えて、花の香りを馨った。

薔薇特有の、強い香り。


いつも思う。この薔薇という花は、がっ君に似ている。



堂々と咲く姿、まっすぐに伸びた姿勢、品のある強い香り、そして…真っ赤な紅。

彼を象徴する花だ。わたしの、一番好きな花。