【完】君は狂った王子様。


彼女に背を向けたまま、動けなくなった。


「あの…ありがとうっ…」


背後で、彼女が立ち上がる音が聞こえる。

ザク、ザク、と、砂の上を歩く音が聞こえて、彼女が近づいてくると理解した時には、もう遅かった。

動けない俺を追い抜かして、前に彼女が立つ。

空色の瞳が再び俺を捉えて、ゴクリと唾を飲んだ。


「あなたの目…真っ赤」



ーーああ、なんだ。

こいつもそんなことを言うのか。


心底がっかりした。けれど失望、という言葉よりは、遺憾と言った方がいいだろうか。

期待していたわけでは無い。

けれど彼女には、気持ち悪がられたくはなかったんだ。



「……ああ、そうだね。さっき君の指を汚した、血の色みたいだろう?」


渇いた笑いが溢れた。