【完】君は狂った王子様。



綺麗な瞳に見つめられて、俺は耐えきれず視線を逸らした。


「…っ、家に帰ったら、ちゃんと手当した方がいいよ」


ダメだ。

この子に見つめられると、おかしな気分になる。


なんだこの…俺が俺じゃ、無い感じは。

咄嗟に手当なんてしてしまったが、不審に思われているかもしれない。


「それ、じゃあ」


もう別荘に戻ろう。

そう思い、立ち上がる。


一歩足を踏み出し、もう一歩、踏み出そうと思った時、俺の動作は止められた。


「ま、待って…っ」


小鳥の、さえずりによって。


ーーーードクリ


おかしい…おかしいおかしいおかしい。
なんだこれは。なんでこんな…胸が、痛い。

これ以上ここにいたら取り返しが付かなくなるような気がして、自分の異変を認めるのが怖くて、俺は振り返ることができない。