美しい少女が、薔薇へと手を伸ばした。
優しく撫でるように薔薇に触れ、にこりと微笑む少女。
その笑顔に、今度こそ俺は沼の底へと堕とされそうになる。
美しすぎる微笑みに、飲み込まれてしまいそうだった。
しかし、俺は知っている。
ハッと我に返った。
何を考えていたんだ。女に見惚れるなんて、大恥だ。
顔の良い女なら、幾百人と見てきた。
そして、思い知ったじゃないか。
顔の良い女ほど、性格はクズだ。
幼稚舎で俺に『吸血鬼』とアダ名を付けたのも、率先して俺を輪から追い出そうとするのも、甘やかされて育ったであろう容姿の端麗な女の子。
親戚のあいつも、令嬢のあの女も、
数えだしたらキリがない。

