【完】君は狂った王子様。



…?なんだ?鳥?動物?


気にしないで帰ればいいのに、何故か気になって、音がした方向へと進む。



薔薇園に差し掛かり、独特のきつい香りが鼻腔を刺激した。


…誰かいる?


人影がして、足を止める。

覗き込むようにして奥を覗けば、そこには一人の少女が、薔薇を見つめている姿があった。


ゴクリ、と、息をのむ。


ーーー美しい。


今まで、一度たりとも、自分の中にはなかった感情が沸き上がる。

呼吸を忘れ、秒針も刻むことを止める。

たくさんの綺麗な薔薇に囲まれながら、彼女は一ミリの劣りも無く、むしろ薔薇の方から彼女の引き立て役に回っている。


心臓の鼓動は煩く、病気にでもなったんじゃないかと思うほどに速かった。


「…っ」



美しい。

再び、心の中で呟く。


彼女は俺の瞳を捉えて、逸らすことを許さない。